2022.8.27葬儀コラム

【友人葬!?】〇〇葬が多すぎる問題を解説 #2

前回#1からのつづきです。
前回、「〇〇葬」を3つのレイヤーに分けてみました。
今回はそのうちの1つ、
「葬儀のカタチ」を深堀りしてゆきます
 

よく葬儀屋さんのチラシには、
家族葬・一日葬・直葬、と並べて書いてあります。
そして、次のように説明されます。

● 家族葬

 ごく親しい方のみで行うお葬式

● 一日葬

 告別式のみ1日で行うお葬式

● 直葬

 儀式を行わないお葬式

間違ってはないです・・・。
が、
直葬も1日で終わりますから一日葬と呼べなくありませんし、
一日葬も親族のみで行えば家族葬と言えなくもないのです。
 

これは元にあるべき比較の対象が省かれている為に混乱しているのです。
では、その大元とは何か?
まず、そこから説明してゆきましょう。
 
 

 


 


「ふつうの葬儀」ってそもそも何?

 

その大元とは“ふつうのお葬式”のことです。
家族葬も一日葬も直葬も
この「ふつうの葬儀」から派生しています。
 

「普通」とは広く通用する状態のことですが、
お葬式における「普通」は要注意です!
 

「普通は●●●ですよね?」とお客様からご質問されるとき、
この●●●は大抵、地域限定ルールであったりします(^_^;)
 

ですので、初めに「ふつうの葬儀」とは何か?
その特徴をまとめておきます。
ちなみに、葬儀関係者は他の〇〇葬と区別するため、「一般葬」と呼びます。

「ふつうの葬儀」の特徴

(1) 参列

親族はもちろん、友人・町内会・会社関係など、故人や遺族と関係のあるコミュニティーに広く声をかけ、多くの参列者を招きます

(2) 日数

「通夜」と「葬儀・告別式」を2日間にかけてとり行います

(3) 宗教

主に仏教の僧侶をお招きして、宗教的な儀式をとり行ってもらいます

(4) 主催

お葬式を取りしきり、葬儀費用を支払うのは主にご遺族の代表者です

(1)から(4)を見てピンとくる方、
カンがいいですね。
この4つのカテゴリ-に変化をつけると、家族葬 云々に変わります。
 

どこを変えると呼称が変化するのか?
参列・日程・宗教・主催
以上の4つのポイントごとに見てゆきます。
 
 


参列数で区分すると

 

一般葬のように広く葬儀の告知はせずに、
近親者やごく親しい友人などお招きしたい方だけを招待して執り行うお葬式
それが家族葬です。
 

「ふつうの葬儀」から人数のパラメータを小さくすると家族葬に変わるイメージです。
 

家族葬の注意点としては、
お招きする方へ声をかける際、
「家族葬で行う」と伝えておくことです。
 

それをしないと、
招待された方が善意で多くの人に葬儀を広めてしまうからです。
 

葬儀うんちく
家族葬と密葬は別モノ


例えば、芸能人のような有名人や、
企業の経営者のような有力者が逝去した場合、
その葬儀には多数の参列が予想されます。
 

そういった場合、
まず近親者のみで葬儀を済ませ(密葬)、
そののち一般の方に向けた葬儀(本葬)を行います。
本葬は大規模になることが多く、準備に1か月かかることもあります。
 

密葬と家族葬は混同されがちですが、
本来、密葬は本葬とセットで行うものであり、
単体で行う家族葬とは区別されるものです。


 


日数で区分すると

 

一般葬では、「通夜」と「葬儀・告別式」を2日間かけて執り行います。
それに対し、一日葬とは、その名の通り一日だけのご葬儀です。
 

具体的には、お通夜を行わずに告別式と火葬を一日で行う葬儀のことをいいます。
家族葬のような参列者の制限はなく、一般の方も参列することができます。
 

とは言え、一般の方の参列は通夜のほうが多くなる傾向があります。
通夜を行わない場合は、
一般の参列は少なく、家族葬に近い規模になることが多いです。
 


 
 


宗教で区分すると

 

「ふつうの葬儀(=一般葬)」では、
主に仏教の僧侶をお招きして儀式をとり行ってもらいます。
家族葬、一日葬においても同様です。
 

仏教の宗旨にのっとってとり行われる葬儀を仏式葬といいます。
 

調査方法により多少の上下はありますが、
葬儀の約80%が仏教式と言われています。
 

宗教離れが進んでいるとはいえ、
葬儀においてはいまだに仏教が強いんです。
 

一方、僧侶ではなく、神社の神主が儀式をとり行う場合、
これを神葬祭といいます。
神道式で行う葬儀ですね。
 

葬儀関係者は、省略して「仏式(ぶっしき)」「神式(しんしき)」と呼ぶことが多いです。
 

ところで、ご存じかと思いますが、仏教と神道は別の宗教です。
恥ずかしながら私は葬儀社に入るまで似たようなものと思ってました(^^;
別の宗教ですから、仏教と神道では葬儀の作法はずいぶん異なります。
 


神葬祭では焼香ではなく、玉串奉奠(たまぐしほうてん)を行います
 

逆に、宗教者を招かずに告別式を行うこともあります。
それが、自由葬あるいは、無宗教葬です。
 

決まった「型」のない自由葬ですが、
焼香の代わりに献花を行うことが多いです
 

その他、無宗教葬の一種には直葬(ちょくそう)もあります。
これは24時間の安置の後、故人様をそのまま火葬場へお連れするシンプルなご葬儀。
告別式を行わないため、参列もご遺族のみ数名ということが多いです。
 

葬儀うんちく
友人葬って何?


「友人葬」と聞くと、
故人のご友人たちでとり行う葬儀に思えますが、違います。
一言でいうと、
友人葬とは創価学会の葬儀です。
 

名称の由来ははっきりしませんが、
創価学会が在家仏教の団体であることから、
学会の仏教活動を通じて知り合った人たちは「友人」である、
そんな考えに由来しているのではないかと思います

 

お坊さんを呼ばず、
地区の儀典部の長が、友人代表として導師を務めます。
お布施が不要であったり、
戒名がつかないのはそのためです。
 

地区の学会員の方々が参列されるので人数は多くなる傾向があります。
ですが、家族葬の場合も増えてきました。
その場合は、遺族の代表が導師を務めることもあります。
 

詳しくはこちらをどうぞ

 


主催者で区分すると

 

葬儀の主催者とは、ごく単純にいうと、葬儀代を支払う人のことです。
 

一般的には、ご遺族の代表の方が、
主催者と喪主を兼任することが多いですね。
 

ただし、主催者が個人ではなく、法人のこともあります。
つまり企業が葬儀の運営を行い、代金も経費でまかなうのです。
そういった葬儀を社葬といいます。
 

ワンハートセレモニーの社葬
 

企業よりスケールが大きくなると、
各行政府や自治体が葬儀を取りしきります。
これが県民葬都民葬です。
 

翁長雄志氏の県民葬(2018年10月9日)
 

そして、更にスケールが大きくなり、
国家儀式として国費をもって行われるのが国葬です。
 

国葬については、また書きたいと思いますが、
個人的には、1989年の昭和天皇の大喪の礼が記憶に残っています。
 

葬儀うんちく
生活保護葬(福祉葬) と 市(区)民葬


「生活保護葬」
生活保護を受けている世帯の一員が逝去した時、
自治体から下りる葬祭扶助(そうさいふじょ)を使ってとり行う葬儀のこと。
 

「市民葬」
自治体が地域住民へのサービスの一環として提供する葬儀プランのこと。
自治体と提携葬儀社との間で協定料金が定められています。
ただし古い制度のため、かえって高くつく場合もあります。
 

2者の最大の違いは、葬儀代を支払う施主です。
生活保護葬なら自治体が、市民葬なら遺族が、
葬儀代を支払います。

 
 


その他の区分方法

 

10数年くらい前まで多かったのが寺葬(寺院葬)です。
お寺の本堂でとり行われる葬儀のことです。
 

格式が高くなるのが利点ですが、
参列者の利便性は悪くなりがちなため、
昨今は減少傾向にあります。
 


映画『ドライブ・マイ・カー』では寺院葬が行われていました
 

一方、
お別れ会などをホテル内で行うことを、ホテル葬と呼びます。
大型の宴会場が使われ、多数の参列者が招かれます。
 

ちなみに、ホテルには他の利用客がいますから、
ご遺体をホテルにお連れしての葬儀はまず行われません。
 

以上、寺葬やホテル葬は読んで字のごとく、
場所による区分ですから分かりやすいですね。

ただし、この名称だけでは、参列の規模・日程・宗教者の有無は分かりません。


 

長くなりましたので、まとめます。
 

今回は「葬儀のカタチ」を深堀りしましたが、
“ふつうの葬儀”から派生したものが多い
というお話でした。
 

4つの角度から切り分けてみると・・・
参列数に注目し、親族のみに絞ると家族葬。
2日間の日程を1日に短縮すると一日葬。
宗教的な儀式を行わないなら自由葬(無宗教葬)。
儀式事を行わず、すぐに荼毘に付すことなら直葬。
葬儀の主催が遺族でなく、
企業なら社葬、自治体なら県民葬、国なら国葬。
といった具合になります。
 

もちろん全部は覚えられません。
ただ一般葬から派生している訳ですから、
大もととなる「ふつうの葬儀」がどういうものかを知っておくことは大切ですね。
 

以上、最後までお読みいただきありがとうございますm(_ _)m